汝、星のごとく
」のレビュー

汝、星のごとく

凪良ゆう

告白します。

ネタバレ
2024年12月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 告白します。私、ゆう先生の作品は電子で手にはいるものは全部持ってて(出版社からの版権引き上げのためか販売停止になったBLも含め)、ファンで応援してるのですが、あれだけ本屋大賞受賞って個人的にも騒いでたのに、先生の一般小説は積読のまま読んだことないんです。ぜったいに寂しくなってしまうから。
なので、これが一般小説初読みなんです。もうそろそろ一般小説の荒海へ船出してしまって寂しがる自分の感情を諦めてもいいんじゃないかなと。ゆう先生大好きだし。コミカライズで1巻も発売されたので、まずは試しにそれを恐々読み始めて、これはオリジナルの小説の文章で体験した方が良いとすぐに小説に切り替えました。

ゆう先生の幼少時代が恵まれなく施設育ちとインタビューで拝見してから、親との関係や生活に苦しむ登場人物が多い理由がよくわかります。このお話に出てくる漫画原作者になった櫂にも言わせてますが、その経験が物語を書かせているのだと、書くことで昔の自分を救っているのだと。また男に頼らず金銭的に自立する女性の姿をご自身の経験からも書きたいのだなと思います。特に女性の生きづらさについては、女性視点からの一般小説でないと書けませんよね。
初の先生の一般小説は、なぜゆう先生がこの作品を書こうとしたのか、何が書きたかったのか、を考えながらの読書でした。
ただ、BL読みとしては、もうほんとどうしようもないんですけど男女には心浮立つ萌えがないんですよね。。生々しくて。。

BL読みとして、またゆう先生ファンとしてではなく、別の視点で一般恋愛小説としてみれば、それはもう素晴らしい構成と文章で、社会問題もふんだんに盛り込まれて始まりと終わりが同じシーンなのに全く印象が違い、軽やかな青春の描写もあれば読後にはずっしりと重く、一冊でいくつもの感情が湧き起こる、2回目の本屋大賞受賞に相応しい作品でしたよ。

まだBL小説家ですから、って先生はインタビューで言ってくださってますが、正直難しいんじゃないかな。。。すっごく寂しいけど。BL文法に縛られてしまう話はもう書けないかも(美しい彼の新刊もいつものとは構成違いましたよね)。私としてはイギリスに渡って花屋を手伝ってる彼のその後のお話をBL小説で読みたいのですが!一冊書けそうですよね。(そうか、かの地在住の私が書けばいいのか。。。(←大言壮語))
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