恋をするならひれ伏して
」のレビュー

恋をするならひれ伏して

ハルモト紺

ハルモト先生にひれ伏したい!

ネタバレ
2025年5月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 地方大出身の平サラリーマンとハイスペック御曹司のライバル関係からの恋。出尽くしたのではと思う程の王道であるのに、真正面から正攻法で満点を出されてしまった。読みきった充足感と高揚感。まさにこれが読みたかったんだと、私の全細胞が言っている…!

家族のために無理をして頑張る早瀬と、家族でいるために言葉を飲み込んできた時藤。家庭環境は違えど我儘を言えずに育った二人が、距離を縮めるごとにお互いを知り、特別を期待していく。大人だから言えなかったこと、大人なのに諦められなかったこと。自分に重ねることでそれらに気付き、相手を想って手を差し伸べる。

早瀬がとにかく前向きでいい子。なにごとにも潔くて明るくて、周囲にも愛されてるのがよく分かる。裏表がなく、誰の前でも変わらないだろう部分に救われてるのは、きっと時藤だけではないはず。「早瀬らしいな」ってセリフが要所要所で効いてくる。関係を持った後は時藤のことを意識してしまったり、お祝いしてもらったケーキのロウソクを大事にしてたり。そんな所もいじらしくてとてもかわいい。小1の息子を見ているようだと言った女性社員の言葉にも頷ける。
時藤は御曹司だけに冷静で余裕そうな顔をしていますが、足フェチだとか尽くしたがるとか、早瀬の手を取り確認させるとか(!)、色事が絡むと別の顔を出してきてそれがたまらん。会社でも早瀬のことをよく見てるし、しかも激甘。子供っぽい素の顔が、いたずらっぽくて可愛くすらある。

人となりを丁寧に見せてくるので、二人の気持ちが痛いほど伝わってきます。欲しいものが欲しいと言えなくなっていた時藤が、願いを口にした瞬間のカタルシスたるや。それでも好きって言えないとか。ほんともう。ほんともーう!

お勧めしたい作品は数あれど、これは万人にお勧めできる間違いのない作品です。一緒に買おう!とレジまで連れて行きたくなる作品。まず表紙からしていいですよね。シンプルかつインパクト抜群。中身で勝負と、売り手の本気が見えてきて震える。
家庭の問題もこれからが本番だし、その先の二人をもっと知りたい。というか続きが出ると信じて疑わない自分がいる。いつか描いていただきたいです。平伏!
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