ズタズタの腕にキス 【コミックス版】
」のレビュー

ズタズタの腕にキス 【コミックス版】

サノアサヒ

イカ焼きを見る度にこの本を思い出す…

ネタバレ
2025年6月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 先生、毎回胸をえぐってくる題材選ぶのに毎回ポップで可愛くて、でも皆がみんな苦しんでるだけじゃなくて、そこいらに落ちてる綺麗な石を見つけて「今日はなんか良い日かも〜」とか、そんな些細なハッピーな事をさ…それだけで良いんだよ、それだけでも十分楽しいしさ…っていう日常をさ……魅せてくれるから、最後まで幸せ(でももちろん苦みもある)っていうお話、毎回描いてくれてありがとうございます……
先生もたくさん傷ついてきたのかなとかさ、思うけど解んないや…先生はそういうの感じてほしくないかもだけど、先生もたくさん幸せだと良いな……だからみんな、サノアサヒ作品を全部買って読め!!めっちゃハッピー!

と、いうの前菜に。
この作品、攻めの茅ヶ崎と受けの人見を通して誰にでもあるコンプレックスを受け止めて消化してくれる話だと思う。
大人になって、今では上手く切り替えが出来るようになった人が見ても、当時の自分や今の自分を抱きしめて送り出してくれるかのような終わり方に、胸が一杯になって少し涙が出た。

茅ヶ崎は内に秘めてる獰猛な自分を解放したら、目の前の大事な人を失ってしまうかもしれない恐怖を飼っていて。
人見は傷ついて化粧することでしか他と喋ることが出来ない。言わば化粧は武装。自分自身を守るための武器。そして両腕にある、イカ焼きみたいに刻まれた苦しみを表現した一本線たち。
誰も彼もが傷ついて、でも生きてかなきゃならないから痛みを閉じ込めてる。
凄い難しい題材なのに、笑って泣いて三大欲求してまた泣いて笑って……最後まで胸いっぱいのまま読み終えることが出来た。
互いが互いを知らぬ内に救ってくれた2人の愛の叫びが木霊するこの1冊。顔と性別にコンプレックスを抱いてる私にとってはこの本は救いでした。
先生、ありがとう。

次回作が出たら次回も絶対買います!!
いいねしたユーザ19人
レビューをシェアしよう!