このレビューはネタバレを含みます▼
四宮先生の繊細な絵と作風が大好きです。
読み始めは分かり辛く感じる部分もありますが、これは誰で、それはどういうことかな?と読んでいくと、弱い糸がいつの間にかしっかりと織り込まれていくかのように、やがてそれぞれの物語が見えてくる。分かりやすさと説明を求めると壊れてしまうものもあると思うので、行きつ戻りつ読んでいます。
少しのんびりした男の子・シゲルが人違いで連れて行かれた場所は、自分とそっくりな男の子がいる一軒家。そこは個性豊かな男の子たちと、優しい先生のいる塾で…。
私塾に通う男の子たちのオムニバス。
小宮山先生の人柄もあり、学ぶのは勉強だけではなく、他者との向き合い方や自分との向き合い方だったり。先生が直接教えるというわけではなく、彼らの成長を守るための大切な場所を提供している、という印象。
シゲルとミオの小さな恋は可愛らしく、幼馴染たちの変わりゆく関係性と変わらない関係はとても優しい。
日常の中の、ちょっとした成長の兆しや、何かに気が付くその瞬間に魅力を感じます。二見くんと小宮山先生の過去のエピソードや、大人の都合に振り回される子供の姿にはハッとする部分も。
描き下ろしは少し大人になった彼らの、とある1日。みんな元気なようで嬉しい。