このレビューはネタバレを含みます▼
警察庁特殊部鑑識課に所属する視覚特化型センチネルの蓮と、そのガイドに選ばれた警察官の吉積。
高校時代に一度だけ話したことがある先輩後輩のふたりが再会し、共に行動していくことで絆を築く。
警察組織と、五感が異常発達したセンチネルの特殊能力。これがもうかなり相性の良い設定で、特殊能力を使った捜査過程がそれだけで既に面白い。欲を言えばもっとじっくり読みたいくらい。
難治性神経疾患として知られ研究が進み、ケアや訓練を受けるセンチネルと、逆に自覚のないガイドの説明も自然かつ過不足なく、予備知識が無くても無問題。
過敏すぎる五感を持つが故の生い立ちは厳しく、国から保護されている立場からの自己犠牲感は根が深い。そして、そんな彼らを繋ぎ止め助けることができる唯一無二な存在、ガイド。
タイトルの「水底」が表す怖さ、恐ろしさが、相性の良いガイドを持つことの大切さをより強く感じさせる。
情緒面の発達が遅いセンチネルの、吉積に対する蓮の変化もいじらしく良かった。結末を辿る寂しく優しい眼差しと、虹の向こうに夢をみる姿と絆には感涙。
魅力的な設定と人物描写、ストーリー。是非シリーズ化して追わせて欲しい作品です。