「Life 線上の僕ら
」のレビュー

Life 線上の僕ら

常倉三矢

こんなんだったのかっ…!!!

ネタバレ
2025年9月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 今まで何度も目にしていながら、何故もっと早く読まなかったのか私は。
今胸がぎゅうぎゅうに苦しくて、頬は涙の乾いた跡でカピカピに引き攣っていて、そんな状態でレビュー書いてます。

序盤は何度も目にした試し読み通り、高校生にもなってこの子らは何しとるねんと笑いから入りました。でも夕希の無邪気さにはたぶん私この頃からやられていました。いつも通りの時間に現れない晃を一人ポツンと待っているところとか、晃を見つけた時の満面の笑顔とか、素直で健気で…最初に恋に落ちた晃の気持ちが分かり過ぎる。

2人は共に歳を取っていきます。白線上での出会いが17歳、最後は夕希82歳です(!)
これだけの年月が経っているんです、2人の間にも色々ありました。3話では夕希が可哀想過ぎて「晃っ!テメッ…ざけんなお前っ…!」とこれ以上は書けないような言葉で罵倒した時もありました。不安にかられ別れたくなったなら仕方ない、でも、さも夕希を慮ってみたいなあの言い方が許せんかった。
ただね…P81の夕希を見て晃が感じた想いは解る気がするんです。私もあの逆光の中の夕希に、神々しいまでの美しさと得体の知れない恐怖を感じたから。物凄く脳裏に焼き付いた1カットだった。

当時は夕希も妻も晃自身も深く傷付いたけど、こんな回り道もありました、と言えるくらいその後は共に長く寄り添ってきた2人。
人は同時に死ねないからどちらかが残されてしまう。
この2人の晩年期もやはり読んでいて辛かったのだけど、最後病院の廊下の白線を高校生に戻った夕希が跳ねるように駆けていくところ、いやその直前の笑顔のアップで私の涙腺は最後の崩壊をみせました。皺だらけで酸素マスクを使っていた絵から一転、生気漲る夕希の、あの好奇心いっぱいの笑顔が懐かしくて眩しくてたまらなかった。私は天国の存在を信じていないつまらない人間だけど、もし本当にこんな再会が叶うのなら死ぬのが少し怖くなくなる。

読み始めた時はこんな壮大なストーリーが待っているとは思いませんでした。白線踏み外したらサメがー氷剣がーとか言ってる高校生がBLしたとしても一冊もつのかなんて失礼な心配までしていたけど、今は逆にこれだけの話をよくぞ一冊にまとめて下さったものだと感服しきり。
これはちょっとほんとにすごかった(涙腺とともに語彙まで崩壊)
この初読み作家様の名を改めて確認。
出会いに深く感謝します。
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