【全1-7セット】愛する人にはいつだって捨てられる運命だから【イラスト付】
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【全1-7セット】愛する人にはいつだって捨てられる運命だから【イラスト付】

SKYTRICK/yoco

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ネタバレ
2025年11月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 公爵家の三男でありながら商売を手掛け成功しているライハルトと、黒猫の獣人ミカのお話。

冒頭から仕えていた男爵令息に捨てられるミカの境遇がとても不憫で、それはタイトルからも想像がつくのだけれど、作者様の書かれる不憫は、私の可哀想メーターを毎回きっちり振り切ってくる。幼い頃に読んだおとぎ話や名作童話の、可哀想な主人公たちくらい可哀想な目にあうじゃん…。
こんな不幸ある!?ってくらい辛い思いをしながら、健気に耐えるミカは弱いのに強い。

貴族なのに口の悪いライハルトの出自もなかなかに辛いものがあって、そこから力を付けていった彼の剛胆さは読んでいて気持ちがいい。いつでも強くて運命ですらも、いとも容易く変えてしまう。
人間嫌いなところがあるのに使用人たちには慕われ、猫には優しい顔を見せつつ、ミカを揶揄うライハルト。どこか少年のようなところもあるし、優しくて強くて愛情たっぷりな愛し方も素敵だった。

規格外なほど豪快に与えるライハルトと自然に受けとめるミカの図が、いいカップルだなあと思えてとても好き。
なので番外編は、読んでいて息が止まってしまいそうな種類の幸せと、その結末でした。

勧善懲悪。けれど、悪者の懲らしめられ方が激し過ぎないのにも、ちょっとホッとしてしまった(他の作品が強烈だったから・汗)。フォルカーも、自業自得とはいえ哀れな男。過去を思うミカが切なかった…。
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