【電子限定】インモラルなやさしい彼
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【電子限定】インモラルなやさしい彼

野良おばけ

名もなき役者とさまよう男好き

ネタバレ
2025年12月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 名がない男と寂しさから抜け出せないゲイの物語 197頁(羽瀬がガチで不品行なの、ご注意を)

ブレイク寸前のあいつは芸名も本名もでないまま。役に入りきったときの顔つきは別人ですごい。そんなあいつにも悩みはある。素の自分だとつまらないことを正直に言ってしまう。だから人間関係がうまくいかない。そうして現れた色気のある羽瀬。役になりきるあいつを「迫真の演技」とほめる。そして”素の自分”の話を面白そうに聞いてくれる。笑顔がやわらかくて優しい隣人。

羽瀬は男しか好きになれない。好みの男を誘うために身なりを整え、時には割り切った関係のやりとりもする。身体の欲求が先走り、心はいつの間にか置いてけぼり。いつも力強く抱きしめてくれる人を求めては傷ついている。器用でさびしい男。

物語の中盤にあいつは羽瀬を演じる。それは自分が羽瀬を理解するためだ。ここが上手い!(うますぎる野良先生)力強いあいつが夜の街へ羽瀬を探しにいく(走る姿がなんともきれい)

野良先生はタッチが個性的。そこにある表情もセリフもどこか詩的で心に残る。今作の「あいつ」は存在しているのに名前がない。それだけで存在に揺らぎを感じる不思議な作品。
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