恋をするならひれ伏して
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恋をするならひれ伏して

ハルモト紺

裏表紙のショートケーキに感動

ネタバレ
2026年3月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 営業成績トップの座を争う早瀬と時藤のお話。

家族愛はあるが金銭的余裕がなく地方大出身、奨学金を返済しつつ妹の学費も支払う早瀬、他方社長の息子で名門大卒、誰もが羨む後ろ盾があるが、実は家族から愛されたことがない時藤。
同じような立ち位置なのに、バックグラウンドが正反対の2人。
物語後半、時藤視点になると、実はお互いがお互いの境遇に無いものねだりしているのが分かります。

とくにケーキの話はグッと心に来るものがありました。
時藤のケーキが用意されなかった過去…妹との対比があからさま過ぎて、よくグレずに成長したものだな、と。
いや、グレることもできない境遇だったのでしょう。
望んだ地位でもないのにやっかまれる立場…。辛い。

そんなギリギリの状態だった時藤が知った早瀬の存在。
事情は違うけれど同じようにギリギリの状態の早瀬とせっかく近づけたのに、家や会社のことを考え、ショートケーキは手に入らないって思う時藤が…。
与えられるもの以外を欲しいと思っても良いのかと考えた瞬間、早瀬からの拒絶とか!
もう! これ以上時藤を苦しめないでくれ!! って作者さんに叫んでしまいましたよ(笑)

だからこそ思いが通じ合ったシーンは感動…。
時藤も泣いていたけれど、私も泣きました。
背中で魅せるシーンがジンときました。

そんな2人だったから、両想いになってからの様子が描かれているのが嬉しかったです。
帰りは待たないから、会いたかったら時藤が家に来て、いつでも待ってると言う早瀬がイケメン過ぎて…!
こんなん時藤じゃなくても惚れてまうやろー!
これからは誕生日ケーキも2人で楽しんでくれるはず。幸せな気持ちで読了できました。

個人的に腕枕される時藤が可愛すぎました。作者さんありがとう。大感謝。
そして裏表紙がショートケーキ! 最後の最後まで大満足な一冊でした。

ただ、この作品で一番イラっとした時藤妹に対する母のセリフ。
「あなたはどこにでも行けるし、何にだってなれるの」
じゃあ時藤はどこにも行けないし、何にもなっちゃダメなの?
物語の兄弟格差が許容されているのは、後に大抵ザマァが用意されているから。
ザマァのない放置は本当に心にくる。
時藤だけが悲しい立場になる上にある家族の幸せって何?
ここだけが唯一残念でした。モヤモヤが収まらない。
いつか本当に独立した早瀬に引き抜かれちゃって欲しい。
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