初読み作家さま。過去何度か気になりつつも試し読みで先への興味がわかず毎度スルーしていた作品。何度目かの試し読み。今回はビビッと来ました。私が彼らの物語を受け入れられるようタイミングが整ったのかな。線の多い太めの描写と全部を語らないストーリーの進め方で画面はやや暗め。ちょっとセンシティブキャラなのかな、と不安に思う始まり方でしたが、読み終わってみれば男子高校生の自己内面や過去の出来事、人との関わりに向き合いながら自分自身の居場所を居住まいを見つける青春ストーリーでした。お互い、相手を通して自分の本当に欲しいもの、言葉を自覚していく。画面の暗さから小難しい話かと思いきや、『良かったね』と声をかけたくなるような爽やかな読後感。ひとえに阿野のおおらかさと素直さ、自分の痛みに向き合って来た彼なりの苦労と優しさのおかげかな。ラブストーリーと言うより救済かな。キスはありますが行為はなし。巻末にその後のラブいショートあり。お互い自然に言いたい事言えて仲良さそうで安心。他の作品も読んでみたくなりました。