吃音に悩む清掃員と清掃先の会社のエリート社員が落とし物をきっかけに知り合い、惹かれ合うお話。
物語は吃音障害の璃莉の目線で進みます。それ故、吃音の人が普段どんなことに苦労しているか、どんな風に考えているかなどが繊細に丁寧に描かれています。小さい頃にからかわれ続け、引っ込み思案になってしまったりマイナス思考になってしまったりと、吃音による日常生活への影響がとてもリアルだと思いました。同僚の人の「水の中で息をすることと似ている」という表現は分かりやすく、吃音への理解を深めることが出来ました。
その一方、男同士の恋愛というものへの抵抗感はほとんどゼロなのに少し違和感がありました。璃莉の高科への想いは憧れに近いものだと思うし、高科が璃莉を気に入ったポイントはよく分かりませんでした。元々ゲイでなければ、璃莉への想いが恋心になるのはちょっと飛躍しているような気がします。憧れと庇護感といった関係性の方が納得しやすかったかなと思いました。BL作品が恋愛抜きでもいいのなら、淡い恋心的な方が似合っていたような気がします。えちもあっさりとしていたので、それならもっと二人の気持ちが通じ合う温かい日常を見たかったです。