先生の作品は8冊目です。大体どの作品もちょっと変わった設定や展開で、面白おかしく楽しいものが多いんですが、今回はかなり現実的なお話だった気がします。単純に笑える面白さというよりは興味深く読みました。
途中、嫁が登場するまでは、よくあると言えばあるような展開予想に「何となく先は読めるけど、いつも通り楽しいからいいや」くらいに軽く考えていました。言い訳みたいですが、私以外にも、BL慣れした人なら似たような考え方をする傾向があるだろう大団円のラストに向かうかと思いきや…ビックリするような方向転換(先生は初めから決めていたらしいです)が、意外性があって良かったです。寧ろ作品がより現実的になり、完成度が上がった気がしました。
そして何より、こちらのラストの方が一般的な考えであり視点でもあるだろうし、ほとんどベストに近いベターではないかと納得しました。誰にとってもWin-Winで、誰もが痛み分け…これ以上はない着地地点でした。
今回は、同性・親子・家族・仕事など、いつになく現実的で真剣なお話で、でも重すぎることなく適度に楽しく優しい気持ちで読みました。