玄野のホクロの、ねっとりと湿度のあるヤバさにまず引き込まれる。
そして暴力的な七瀬の、ピアスホールの裏側にある願望。
玄野の執着は何なのか?
噛み合わない2人に接点はあるのだろうか…。
長年土に籠もっていた蝉が羽化して生を謳歌し、そして息絶える。その表現になぞった起、承、転、結がお見事!
七瀬の頭の中に蝉の鳴き声が煩く響き渡り、頭いっぱいに侵食していく様子にゾクゾク。
最後の終わり方も上手くて痺れた…。
標本風のキャラクター紹介は、永遠を表しているのだろうか。
全体的に黒塗りが多く、不気味さや不穏な空気がとても良く表現されていて、超好み。
だが、突き抜けているからなのか…笑ってしまうところも。
最後まで先生のセンスに痺れる1冊であった。
ただ、蝉や昆虫食が苦手な方はご注意を…。