なろう系の王道ラブストーリー、あえてテンプレ展開のようです。よくあるパターンと言ってしまえばそうなのですが、そこがいいのです。
ヒロイン(候爵令嬢)は第一王子から濡れ衣で婚約破棄された上、辺境伯と婚姻させられて(書類上は正式な婚姻成立済み)辺境へ送り出されます。
歓迎されないと予測していましたが、冷遇ぶりは予測以上。初対面の夫である辺境伯は長旅で疲れたヒロインに「貴女はまさか花嫁として歓迎されると思ってこちらに来たのか?」「使用人として置いてやる。ありがたく思うんだな」と言い放ち、事情を説明しかけたヒロインの言葉も遮ります。そして用意した部屋は使用人部屋。なかなかな冷酷対応ぶり。ヒロインも心を閉ざします。
普通の令嬢ならくじけて当然の状況ですが、ヒロインはへこたれません。候爵とメイドの間に生まれた庶子であり、8歳まで母親と一緒に働いた経験があるからです。
むしろ12歳で第一王子と婚約し、窮屈で厳しい教育や職務に追われた生活より、ずっと自分らしくいられ、余暇もある。ヒロインはのびのびとし、幸せも感じます。
すると逆にもやもやするのは辺境伯の方です。逃げ出すどころか鼻歌まじりに順応するヒロインをみて、認識に間違いがあったのではと焦りだします。
不安は的中でヒロインはむしろ被害者側だと分かります。それどころか辺境伯夫人として、望ましいというか、得難い人物だと分かってきます。
美しく、品のある凛とした佇まい。それに領地経営などにも充分すぎる職能。身分も高い。条件面だけでも願ったり叶ったりなのに、ヒロインの笑顔は魅力的でお茶目で可愛い一面もある。辺境伯はヒロインへの認識が塗り替えられるにつれ惹かれるようになります。
しかしあの初対面。あの瞬間から完全に“嫌われて”しまっており、不器用な辺境伯がフォローしようとすればする程、裏目に…。あの最悪の初手から挽回できるのか?
ヒロインは手強く、辺境伯の不器用なアプローチを華麗に本心でスルーします。辺境伯、自業自得ですが、気の毒な面もあり。一番悪いのは不誠実かつ薄情な第一王子なのですから。
美男美女の組み合わせ、人柄も実直な者同士。どうやって甘いシーンまでたどり着けるのか?楽しみです。