神様なんか信じない僕らのエデン
」のレビュー

神様なんか信じない僕らのエデン

一ノ瀬ゆま

エデンの園を出た彼らに読後思い寄せる傑作

ネタバレ
2021年3月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ あの傑作「gift」を描いた一ノ瀬先生のオメガバースもの(gift未読の方はこの機会にネタバレなしでぜひ一気読みしてください!)。

人類初のオメガバースαとΩを熱量高く描いたこの作品。オメガバース界の歴史を変えるマイルストーンで、事件です。大事件ですよ。息もつかずに一気に上下巻そしてTwitterでその後の話まで読んで、7日間のエデンの園を出た彼らの未来を思ってため息つきました。もんのすっごく良いです。人類初のオメガバース、そうですよね、何にでも初めての種がいるわけだから、世界初のαとΩがいつうまれてもおかしくない。ふたりが何もわからないところから始まりひとつひとつの現象に言葉をつけていき、状況を理解して成長していく。7日後の精悍なαの表情は一般人の私たちも惚れます。そして物理的な性衝動が収まるのと反比例して精神的な愛の濃度が高まっていくんです。普通のBLとは違った展開で、そこも良かった。
あのですね、書こうかどうしようか迷ったんですけど、このお話、俯瞰からみた起こったことのあらすじネタバレを一言でいうと、「7日間体育倉庫でエチしまくる話」。なのに、途方もなくめちゃくちゃ面白いんです。どこにもいかなくても、派手で陰惨な事件が起こらなくても、斬新な設定と目を惹きつける画力とウィットに富む会話をもって、たった7日間のお話でここまでスリリングで面白くて切なくて息もつかせず読める熱く濃密な作品になるなんて、まさに一ノ瀬先生マジックですし、BLの新たな可能性広げたと思います。間違いなく今年ベストBLランキングに上るだろうこの作品。私がいうまでもありませんが、ほんとうに心からオススメします。

追記)3巻(実質4巻目)出たので、読む順番まとめます
ナンバリングなし上下巻→「エデンを出たらコンビニに寄って少し明日の話をしよう」(番外編、下巻直後のヒートなし初エチトライ話。作者さんXから辿れるpixivで無料なのでマジ必読)→2巻→3巻
元々上手な作者さんの絵が3巻でものすごい進化してます。ヒートで肌色1/3占めててフェロモンが絵になるとこうだったのね、ってわかる。
3巻はなんと実家で過ごすヒート。人類初めてのαとΩが高校生でまだ親の保護下だったらどうするのか、をリアルに考えて描かれてて、親が医者、の設定が生きてる。3巻p92のΩくんの心の声を聴くαくんの優しい表情がBL史上最高の攻め顔認定。エチの美麗さを鑑みると私的very bestBL。
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