オンリー・トーク
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オンリー・トーク

一穂ミチ/志村貴子

志村先生の担当編集さんに金一封🌟

ネタバレ
2025年4月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「なに?一穂先生原作、志村先生作画の芸人BLだと…?」と、その字面だけで盆と正月がいっぺんにやってきそうな豪華なコラボに目が釘付けに。吸い寄せられるように試し読みすると、そこにはタレ目でヌルっと人の懐に入ってきそうな面構えをした芸人飯田と、その飯田を強い目線で見つめている後輩芸人小峰の姿が。一見、くっつくことなどなさそうな2人がどう近付いていくのかを見届けたくなって読んでみた。

 そもそも、なにゆえこのお2人がタッグを組んだのか。なんと、もともとお互いがファンで、雑誌での対談が実現した際、志村先生の担当編集さんが提案して、2人で漫画を作り上げることになったんだとか(某対談記事より)。は~~、担当編集さん、グッジョブ!是非とも金一封を!この対談を読むと作品がより味わい深くなるので、ご一読をおススメ。

 そして作中のお笑いのネタのレベル、コンビのネーミング、どれもハイセンスで、大阪出身の一穂先生が一から考えたんだと知ると、ひれ伏したくなる。関西人としてのプライドをかけたプロの技、素晴らしきかな🌟
 一穂先生オーダーのキャラデザのイメージ、飯田の衣装にモデルとなったお笑いコンビがいるらしいこと、作品作りの際に一穂先生が心がけたことや実は手フェチであることなどなど、自分にとっては、新しい一穂先生の一面を知ることができたのも嬉しい限り。

 志村先生の作画も、少女、少年、どっちにも行ける画風なのに、BLになる2人には不思議な湿度と色気が漂うのが巧い。先輩芸人飯田が飄々としている風情ながら、表情筋死んでる勢のくせに実は飯田の激重なオタである小峰が、飯田を見つめる瞳に特別な意味を含んでいるのに引き寄せられるように、徐々に距離を縮め、気があるのかないのかドギマギさせていたくせに5話で「おまっ、そこでキ…舌…おおい!!!」と総ツッコミっすよ!シンプルな線なのにそのエロさに目が釘付け。うっわ~、冒頭の太陽と地球くらいの距離感だった2人がこんなに近づくなんて…と胸いっぱい。なぜ、飯田が小峰に特別な感情を抱くようになったのかは、途中で明かされ納得。

 その一方、もしもこの作品を一穂先生が小説で書いたらどうなるんだろう、とか漫才、落語といった話芸や、モノローグとセリフのギャップの激しい作品なので音声化したら面白いぞ、と妄想がはかどって仕方がない💓是非、続編or音声化を(強欲…)
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