ゴンドワナの眠り
」のレビュー

ゴンドワナの眠り

青井秋

とても美しくて、とてもきれい

ネタバレ
2025年7月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 博物館で出会った、宙を泳ぐ一匹の魚。
不思議な、運命のような出会いに導かれ進むふたりの物語。

透明感があって落ち着いていて、絵もお話もとてもきれい。
優しい直樹の魂は宝石のように美しく、基の想いは一途な強さが美しい。少年たちの恋は淡く、泳ぐ魚の願いを探すことで、その距離を縮めていく。

化石の話がとても素敵。強く求める気持ちが肉体を失っても残るとしたら、そしていつまでも隣り合い眠れるのだとしたら、とてもロマンがあるし、憧れる。
基を不可思議なモノから守る眼鏡を通しても見えるそれらは、きっと強い記憶だからこそ、ふたりを結びつけ、基の心も救われた(眼鏡越しのホクロに、涙を拭う指が触れるのたまらない)。

泳ぐ魚の描かれ方が、本当にきれいなんです。直樹のそばを泳ぐそれも、存在に全く違和感がなくて、時に印象的で。読み終えてからまた表紙を見ると、その美しさの意味に感動します。とても素敵なお話でした。
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