ロマンティック
」のレビュー

ロマンティック

西田ヒガシ

一読では到底、咀嚼しきれない

ネタバレ
2025年8月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 何度読んでも読み終えたという気持ちになれず、言葉と眼差しの意味を探りながら、幾度となく読み返す。
生と死と性と、ほんの少しのファンタジー。
舞台は戦場。愚劣で醜悪で愛を持つ人間が戦う場所。

動け、生きろの呼びかけに導かれて戦ったジョンは、洞窟でマエダに「歩け、生きろ」と言い、最後はマエダの「生きろ、動け」の叫びと救いに愛と奇跡を見る。
先生の描く男たちは、情けないところも、どうしようもないところも、それでも立ち向かうところも、全部まとめたかっこよさがある。そしてどの作品も、どこかロマンティック。

全力で描かれたものは全力で読みたい。が、何となくで生きてきたツケがこんなところにも回ってくるようで、自分の思考力の無さがとても歯痒い。
何を信じて生きるのかと問われているようでもある。

マエダがどんどん魅力的になっていき、掴んだ武器を撃たずに放るシーンにグッときた。「命を守る美しい武器はやがて怒りと憎しみの武器になる」ジョンの言葉が刺さる。
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