逢縁カタルシス
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逢縁カタルシス

大島かもめ

大正浪漫大阪編

ネタバレ
2025年9月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者様買いです。時代は大正ということで、自分の好みにぴったりの作品。表紙も美しい。
近代の物語はよく読みますが、大阪が舞台のお話は初めて。薬種商の若旦那・竜次と、新しく運転手として雇われた近藤とのお話。

関東大震災によって職を失い、縁あって竜次のもとへやって来た近藤。まずは冒頭の無理ありすぎるエセ関西弁に吹き、心を鷲掴みにされました。
また、車を“なおす”の意味を勘違いし、まさに“直そう”とする実直(というか天然?)ぶりにもすっかりやられてしまった。方言って面白いな~、同じ文字の並びでも地方によっては全く違う意味になるんだもんな~と、別の側面でもニマニマさせていただきました。

初めはそんな近藤の方に目が行きがちでしたが、丁稚から若旦那にまで成り上がった竜次にも少し複雑な過去があり…。
ただ当の竜次が基本前向きな性格の上、近藤も前述のように生真面目で竜次一筋。二人の掛け合いも面白いんです。
そしてあの時代の和装と洋装が入り混じったレトロな雰囲気!近代好きには堪らない素晴らしい要素の一つですね。

ストーリー全体を見てみると、確かにレビュアー様方が書かれているように淡々と進んでいく感じではありました。
しかし近藤と竜次にとっても読者の私にとっても、まさに“カタルシス”というタイトル通りの素敵な作品だったと思います。
続編を読みたくなってしまった…。
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