ながたんと青と-いちかの料理帖-
」のレビュー

ながたんと青と-いちかの料理帖-

磯谷友紀

お料理もストーリーも素晴らしい💮

2025年9月14日
お料理がテーマ、時代は戦後間もなくの頃ということで、好き要素満載のため気になっていた作品。
夫を戦争で亡くした京都の老舗料亭の長女・いち日。傾きかけた実家を立て直す資金を得るため、大阪のホテル経営者の三男・周を婿に迎えることに。ですが、彼は何と15歳も年下の学生さん…。

ひとまず無料分の3巻まで拝読しましたが、前述の通り好き要素に溢れたお話でした。
まず第一にヒロインいち日。嫌味のないサッパリした性格で好感が持てます。大人の女性らしく、適度な落ち着き具合いが◎。よくありがちなバタバタ騒がしいヒロインではないのが逆に良い。
そして旦那様の周、表紙の印象からおっとりした優しい人かと勝手に思っていたのですが…。真逆!
ズバスバ物を言うし、なかなかキツいな~と。しかし裏を返せば正直なだけ。思ってもいないお世辞を言う人より余程信頼できる性格です。

政略結婚で夫婦となったこの二人。料亭“桑乃木”の立て直しに早速取りかかるのですが、出てくるお料理がどれもこれもおいしそうで困ります。
思わず「食べたーい!」と思ったのがいち日の周への“愛妻弁当”・だし巻き卵のサンドイッチ。これはもう完全に飯テロ漫画の側面もあると思います。
そして夫婦関係はというと蝸牛の歩みで、私の好みでもある“もだキュン”系。15歳差の彼女らが徐々に…という感じが可愛らしくて堪らないです。ちょっとアッサリしすぎじゃない?とすら思える二人の関わり方が新鮮。

いち日たちを取り巻く人間模様も面白いし、お料理はもちろん戦後のお仕事やファッションを見るのもすごく楽しい。時代背景などについてもしっかり構成された物語だと思います。
また最初は不思議な響きのタイトルがかなり気になっていたのですが、意味を知って納得。いち日と周、夫婦二人を表す素敵なタイトルでした!
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