このレビューはネタバレを含みます▼
番外篇1〜4は本編のスピンオフとのことで、取り敢えず読まないと先(総集篇)に進めないしな…くらいの軽い気持ちで手に取りましたが。これがもう、びっくりするくらい面白かった。
番外篇1と2、3と4。それぞれ主役を変え、違ったテイストなので全く飽きない。むしろ深まる。
仕事への情熱、悩み、努力、成長。同年代のアナウンサーとFDが、同じ番組で関わるうちに信頼して認め合う。
番外篇1の中で進む若いふたり(竜起と深)の恋は、なんとも勢いがあって微笑ましい。
明るくて人好きのする竜起のアプローチは、あっけらかんと真っ直ぐで、その攻め方は優しく落ち着いているのに押しが強い。普段とのギャップも、普段と変わらないそれも、嘘のない竜起らしいもので好ましい。
番外篇1から2へ加速されていくお互いへの熱量も良く、経験の少ない深から漏れる関西弁は破壊力抜群。
番外篇2で登場する竜起の旧友、コタも憎めない子で、仕事も恋も、展開にわくわくしたし、最後まで面白かった。
強烈だったのが、お笑い番組ではADをする深の上司、栄。出来る男の拗れ具合が、主役じゃないのに最高にそそる。
そんな栄の物語は番外篇3と4。
疲れきった彼の目を手で覆うシーンは、番外篇1の中でも特に印象に残っていたので、俄然、彼の物語が気になった。
渦巻く世の中の澱のようなものに疲弊していく栄に、どうかこれ以上傷つかないでと祈りながら読み進んだけれど、語られる社会問題も含め、全員が痛みを受ける内容は、とても辛いものだった。
番外篇3の後半からは采配の小気味良さに夢中で読んで、大人の愛に痺れる。すごくすごく、面白かった。
信念や情熱を持って働く全員が個性的かつ魅力的なので、最後はシリーズのみんなが大好き!ってなるし、絶妙な塩梅で顔を出してくるシリーズの面々にも心浮き立つ。しかも、自然で邪魔にならない、必要のある登場なのがすごい。
コミカライズの方の竜起も好きなので、ユキムラ先生の絵で描く栄や深も見てみたい。
とても読み応えのある番外篇でした。