あやし道連れ
」のレビュー

あやし道連れ

はなぶさ数字

続きものだけれども、ぜひ読んで!

ネタバレ
2025年10月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 凪の洞門、海辺の因習ロマンス。漁業と温泉しかない町に伝わる怪魚の化け物を題材にした、本格的なミステリー。
絵と見せ方が上手いので、どんどん話に引き込まれていく。

排他的な田舎の陰鬱さと、作品を取り巻く仄暗い雰囲気。
幸也が少年時代に洞門で出会った不思議なナギは、バケモノと呼ぶにはあまりにも無垢で、幸也に優しい。

和やかな現在パートと不穏な過去パートが挟まれる展開で、読めない状況と因習の謎、出会い求め合うふたりの結びつきが、転がるようにギュウギュウと深まっていく様が面白い。
何か取り返しのつかないことに足を突っ込んでいくような過去パートの怖さは、回を重ねるごとに強くなる。

子供時代の彼らは純情で愛らしく、ナギは幸也の感情に敏感に寄り添い行動をする。盲目的な程に懐くナギのいじらしさには、恐ろしい化け物なはずなのに庇護欲が湧く。
そして、大人になった彼らの体格差と絡みは非常に良い(ここ大事なので太字太線で)。
同級生のイカ推し依田くんも面倒見のいい良い子で、2巻以降どう関わって行くのかとても楽しみ。

漫画部分は157ページまでで、おまけや広告など諸々含んだ全174ページ。濃いのでもっと長く感じた!
おまけは描き下ろし3ページ「高遠先生とその彼氏」。
ナギの長い髪の美しさは幸也のおかげ。ナギの独占欲も垣間見れます。
カバー下は最初のキャララフと2案が1ページずつ。
2巻は2026年3月発売予定。

分冊版5から読める1巻の続きでは、町の大人たちも動き出し、更に面白くなっていく。
どうして彼だったのか。その謎を追う楽しみを、ぜひぜひ、味わってみてください!
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