タツキとタマキ
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タツキとタマキ

吉田ユウマ

表の顔での攻防と裏の顔での共同作業に萌え

ネタバレ
2025年10月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ ヤクザと警官の組合せ…といえば、数々の名作がひしめき合っているわけですが、そこに彗星のごとく現れたのが本作。
 表紙の左側にいるのが、ヤクザのタツキ(堂場組若頭)で、右側にいる黒髪メガネがタマキ(マル暴警部補)。
 表向きは、操作する側と、される側、というライバル以外の何者でもな2人。が、お互いの裏の顔が、元商業BL漫画作画担当vs国家権力に立ち向かう極道の正義を描いたヒット作の原作者であることが、新作に向けた顔合わせでバレてしまう、という衝撃の出会いから、ノンストップで繰り広げられる、話す言葉と内心の食い違い、その秘密をお互いだけが握り合っていて、バレたら表の顔での居場所がなくなる者同士、やむを得ずバディを組む…っていう、設定だけでもワクワクしちゃう第1話!

 いや~、そこからのお互いの内心のツッコミと、メタ的な注釈によるツッコミが、ホンっとにセンスが良くてニヤニヤが止まらない。タツキのペンネームのセンスとか、書いてた商業BLもヤクザ✕警官(帯に「ワガママ若頭✕ツンツン刑事」とあるのがめっちゃ気になる)。作中でもそうとしか見えない構図に2人がなっててさ…もう妄想の玉手箱なんすよ!!!

 なぜそんな危ない橋を渡ってそんな裏の顔を持っているのかも、徐々に読者に明かされて。実はその裏の顔の方が、表向きの仕事のため抑圧されてきた本当にしたいこと。
 そんな2人のおさえようにも、おさえ切れない原稿の上での創作という共同作業の中で、お互いを認め合い、息が合って創作活動に取り組むうちに息がぴったり合って運命共同体になっていくわけなんですが…。もう読んでるそばからおのれの中の腐心が暴れ出す。
 だってさ、作者さん、表紙でお互いの手に手錠掛け合っているじゃん?それって、もう一生離れられない&離さないって意味じゃん?絶対狙ってやってるよね?と、もう胸のざわつきが止まらないのです。
 そこでいい仕事をしてくれるのが、編集の貫井さん。2人にオーダーしたのが「ヤクザと警官のロミジュリ」って…。まんま、2人の未来を描いているみたいやん!!
 まだ第1巻なので匂わせ止まりだけど、匂わせで済むのか済まないのか、BLジャンルじゃないからこそのお楽しみがここに…。ラブコメ、ケンカップル好きなら刺さるかと…続きが楽しみ💖
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