サヨナラに編むは、
」のレビュー

サヨナラに編むは、

梅松町江

とても素敵な本でした

ネタバレ
2025年10月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ どうしてこんなに心を打たれるんだろう。
どこからこんなにも暖かさが伝わってくるんだろう。
読ませていただいたレビューから興味を抱いて購入したこの作品。とっても素敵な本でした。

趣味を持とうと柊真ホーキンスが書店で選んだのは、著者の糸瀬もステキな、男子による男子のための編み物の本。しかし始めてみると、目の作り方から分からない…。
確かに写真と文字だけだと、編み物の説明って難しい。
糸瀬の編物教室に通うことにした柊真は、誠実で優しくてキュートな人柄の糸瀬に惹かれていく。

妻を5年前に亡くした糸瀬が、編みかけのまま目を背けていた、思い出の靴下。一方、妻が編んだ思い出の品を日々使いながら生きている柊真のおじいさん。
乗り越え方や時期は人それぞれだとは思いますが、残された側の人間が、こんな風に前を向いて生きていけるようになるのなら。先に逝った側も、少しはホッとするのかな…などと思いながら、読みました。

誰かのために何かを作る。ひと編みひと編み、あなたのことを、大事に思っている人間がここにいるよと伝えるように。

真っ直ぐでスマートな柊真が素敵でした。
作者様の他の本も読んでみよう。また楽しみが増えました。
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