極道Dom/Sub 正しい愚弟の躾け方【単行本版】
」のレビュー

極道Dom/Sub 正しい愚弟の躾け方【単行本版】

兄弟愛の葛藤にDomSubも絡む意欲作

ネタバレ
2025年11月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作品、拝先生の作画が見事過ぎて、身体のデッサン、筋肉の付き方、兄の和也の背中の彫り物の立体感、血管や毛の描写までパーフェクト…と何回か読み返していたのにレビューしていなかったな、と思って再読して、新たな萌えポイントを発見してしまい、レビューをしたためるに至りました。
 絵だけではなくて、ヤクザの兄貴と腹違いのホストの弟、という兄弟もの&二大BLあるある業界人を配するだけではなく、さらにDomSubユニバース設定をも取り入れるという、BL界のテーマパークのような作品。これだけの設定を盛り込んで、それぞれをきっちり活かし、画力に比例した激しいエチシーン、はじめの頃のいかつい表情と2巻書下しで見せる笑顔のギャップ。読めば読むほど、作品作りにかける熱量にため息が出るほど。ネタバレなしで読むのがおススメ。

【以下ネタバレ】
 タイトルからも分かるとおり、1巻はヤクザの若頭の兄貴目線で、反発ばかりするDom嫌いの弟、ゆたかを、躾ける目的で同居するところから始まるんです。
 兄視点で物語が進む中、兄貴は昔は可愛かったのに、どうして…という思いにとらわれていることが分かるわけなんだけど、この兄貴がかっこいいんだ。ヤクザではあるものの、筋が通らないことが嫌いで、弟思いで人望もあって。おまけにスーツが似合って、いい塩梅のSっ気もあって、顔もいい…。時折、不機嫌になるのは、弟ゆたかが自分を嫌いだと思ったときで、本人は自覚していないけど、子分たちにはバレているっていう、ちょっとかわいいところもあるのが魅力的。
 そんな風に兄貴は弟がDom嫌いで、体調が悪いと思いこんでいるから気付いていないけど、読者にはうっすら、弟の兄への感情が伝わってくるんです。が、2巻からは、弟視点で物語が始まることで、大きく物語の見え方が変わってきて。
 義兄弟BLならではの葛藤もありつつ、イケおじの野分親分などの魅力的なサブキャラも絡んで、先が読めず、最後まで惹きつけられて飽きません。
 読み返してみて、この作品にDomSub設定がある意味を考えると、Domだから嫌われているっていう兄視点での思い込みが壮絶なすれ違いを生みつつ、その設定だからこそ、ゆたかが反発してるのに兄貴のコマンドに無意識に反応してしまい隠していた本心がバレてしまうという…上手い。上手すぎる。もう全設定を活かした見事な作品作りにスタオベ💖
いいねしたユーザ17人
レビューをシェアしよう!