気難しい王子に捧げる寓話
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気難しい王子に捧げる寓話

小中大豆/笠井あゆみ

寓話が示す戒めと教訓

ネタバレ
2026年8月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 小中大豆先生のシリアス・ファンタジー。
気難しい癇癪持ち王子エセルと腹黒側近オズワルドのお話。
腐敗した国の政治を絡めた、読み応えのある作品。

薔薇の聖痕を持つ王と刺草の聖痕を持つ宰相の伝説が伝わる国で、聖痕を持つ王子エセルは暴君へと育ってしまう。
後に嘘と真実に向き合ったエセルの自責と自戒は痛ましい程のもので、それは彼に王としての覚悟をもたらした。
壮大で素晴らしい結末を見せた1巻だったので、続きは無いと思っていました。

めでたしめでたしの後に、彼らがどうやって未だ国政を牛耳る七侯と立ち向かい、国を治めていったのか。
過去の戒めと教訓を忘れず綺麗事だけでは終わらせない、エセルの覚悟を見せた2巻。物語は続き、それがいつしか歴史となっていくのだと強く感じました。
2巻最後の挿絵は可愛くて賢い義弟エドワードと、未来ある庭師見習いのダフ。新しい世代への眼差しは優しい。

エセルとオズワルドの関係は、時に甘く時に初々しく。
また時にオズワルドが過去を反省し、1巻での仕打ちを忘れない私の溜飲がほんの少しだけ下がる。
オズワルドの黒い部分もチラリと覗き、まだまだこんなもんじゃ無いんだろう?とその期待値も上がった。

そして各巻の物語を深く温かいものにしているのが、田舎学者マルジンと老師ビリンガムの存在。
優しい文体で語られた、心に残る、素晴らしい終盤エピソード。これが非常に大きかった。

仲間を増やしていくエセル達の物語を、まだ読めるのだとしたら楽しみでしかありません。
続きあるのかな〜と先生のXを見に行ったら笠井あゆみ先生のカバーラフ案が紹介されていて、そこから動けなくなってしまった!え、笠井先生ギャップが…好きです笑笑
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