自分の両親を殺した相手がスカーだと知った、エドワードの幼馴染であるウィンリィは、怒りでとっさに彼を銃で殺そうとします。エドワードがとっさに止めたことで、彼女は人殺しをせずに済みます。エドワードは、悔しくて泣くウィンリィに、ラッシュバレーで赤ん坊を取り上げて母子を救ったことや、エドワードの腕と足を作っていることなどを話しながら、こう説得するのでした。

その後ウィンリィは、自分のことを待ってくれているお客さんがたくさんいることに気づき、殺人をして彼らの前に出られなくなってしまうことが避けられたことに安堵します。ウィンリィのことを思うエドワードの姿、そして、彼女を待つお客さんを思うウィンリィの姿……人は誰かのためならいくらでも力が湧いてくるものなのかもしれない、と感じられるシーンです。

シン国のリン・ヤオは、不老不死の法を手にいれるため旅を続けていました。エドワードやマスタングとともに「暴食」の名をもつホムンクルスであるグラトニーを捕らえたのもつかの間、グラトニーの暴走により飲み込まれ、ホムンクルスの生みの親「お父様」との対峙を余儀なくされます。

手も足も出ないままに「強欲」の賢者の石を注入されることになったリンは、身体の中でグリードと向かい合い、むしろ受け入れてやると啖呵を切ります。驚くグリードに放ったのがこの一言。もしかすると完全にグリードに飲み込まれてしまうかもしれないのにも関わらず、そんな高いリスクをとっても構わないと思えるくらいに彼は国の責任を背負っているのでした。彼の強欲さは、自分を慕う臣下たちがいるからこそ。覚悟を決めたリンの気迫が感じられる場面です

「嫉妬」の名をもつホムンクルスであるエンヴィーは、焔の錬金術師であるマスタングとの戦いの末、賢者の石を使い果たし小さな姿に戻ってしまいます。とどめを刺されずに済んだエンヴィーは、懲りずにマスタングやホークアイ、スカーなどその場にいる人たちを挑発し、煽ります。そんなエンヴィーの姿をみながら、エドワードは冷静にこう言い放つのでした。エンヴィーは、ホムンクルスよりも弱い存在であるはずの人間が、叩かれてもへこたれても何度でも立ち向かう、その姿に嫉妬しているのでした。エドワードに痛いところを突かれたエンヴィーは、それを認めた上で自害をします。