人口減少に歯止めをかけるため男体妊娠の研究が進む近未来で、被験者と研究者として再会した幼馴染み同士が発情をきっかけに深い関係を築くお話。
オメガバースではないけれど、同じように男性の発情を促し子供を産もうとする研究が進む世界。この設定が一風変わっていて面白いです。そしてナギの母の謎の死と徹底管理された研究施設が隠している秘密に少しずつ近づくサスペンス調の展開に引き込まれ、ドキドキしながら読み進めました。ただ、物語全体の流れは良く作り込まれていますが、その面白さを活かしきれていないのがもったいないです。
最終的にナギの母はなぜ死んだのかとか、研究中止になったのになぜ逃亡生活を続けなければならないのかなど、謎が解明されない上にその後の対応に疑問を抱くばかりでスッキリしない終わり方なのが残念でした。ナギと隼仁が想いを通わせることと、男体妊娠の研究の問題を解決させることは別問題なのに、ナギと隼仁が両想いになったら全てが丸くおさまったかのように終わってしまうのは作品のいい部分を放棄してしまったように感じました。面白いテーマだっただけに、消化不良になってしまった気がします。