本作をただ学園ものにアニマル要素を添加しただけの作品とお思いの方は、だまされたと思って一度手に取っていただきたい。
表面的な学園もの特有の青春や群像劇の中に隠された、非常に重いメッセージがそこかしこにちりばめられている。
本能的に「狩る側」である肉食獣と「狩られる側」である草食獣が同じ学び舎で学ぶということはどういうことか?
そこに生まれるジレンマと各々の葛藤…
なぜこんな理不尽な状況に?と頭をひねる人もいれば、こんなのファンタジー特有の何でもありの無茶苦茶な設定だろ、特に深く考えもせず受け入れる人もいるだろう。
しかしこれ、人間社会を俯瞰で見ると同じような構図が各所に存在するのでは?
そう考えると、作者の意図する問題提起とその現実社会からの投影の巧みさに驚かされます。
是非一度、社会風刺的な側面からも本作をご覧になっていただきたい、そんな作品です。