ドクズの凍月が無垢な湊との愛を知り浄化されるという単純な話しではない。ARUKU先生の作品は何時も読み応えのある盛り沢山のエピソードと心の綾を描いた奥深い作品が多い。この作品も人として完成するには自分に欠けた部分を経験し、その真意を学び己の身とするしかないのだと教えているように感じる。闇は光の眩しさに戸惑いもがき、光は弱さゆえ闇に圧倒され蹂躙される。反目しながらも惹かれあうのは、自分が完成するためには互いの存在が不可欠だったからだろう。闇の凍月が湊を思いやり行動したとき愛という崇高に目覚め、光の湊が復讐という闇を抱えたとき人としての強さを手に入れる。そこまでに至る物語の経緯は壮絶だけれど、互いの欠けた部分を与え合い、人として成長した二人の絆はとても強く、愛はとても深い。心を揺さぶる素晴らしい作品だと思う。