えちな関係のみの気軽な付き合いをしていた男二人。呉服店に勤める男と、そのお得意様に付き添ってやってきた男は、偶然の鉢合わせをきっかけにお互いの素性を知るようになり、恋に発展するお話。
夜の体の関係のみだった二人が、昼間、お互いに仕事をしている状況で出会うことで、ご飯を食べに行ったり遊んだりする健全な関係へと発展する。一緒にいる時間が増えていくにつれ、お互いの過去や思いを話すようになり、体の関係のみでは知り得なかった心の核心に触れることで距離が縮まっていく。軽口を叩く軽妙なやり取りとは相反する切ない本音たちで胸が苦しくなりました。
自分のことを唯一気にかけてくれた兄が家庭を築くことで孤独感を感じるハヤト、ゲイであることを「治す」と言わなければ存在が許されない厳しい家庭のヒロミチ。愛されたい、愛したいと思う気持ちが強いからこそ臆病になっていた二人が、この出会いで一歩を踏み出すことが出来て良かったと思いました。
劇的なストーリーではないけれど、日常が少しずつ変化する奇跡が、軌跡となる素敵なお話です。