職を失い傷心中の男が旅先で出会った男と一夜を過ごしたことから始まるちょっと臆病な大人の恋のお話。
ミドルエイジになる男二人のもどかしくも悩ましい恋愛の様子がとても丁寧に描かれています。人生も恋愛も様々な経験をしてきたからこそ、優しい出会いに癒される阿南と井田。世話を焼きすぎないように距離感を測る阿南とカッコ悪く甘えてはいけないと一歩引く井田は、互いに気遣いすぎてすれ違いそうになります。大人だからとワガママを言わずに我慢してしまう二人に、思わず手を差し伸べたくなる程モダモダしてしまうのも失敗したくないと思うミドルエイジならでは。やっと素直になり、井田が追いかけて来た場面はとても感動するはずなのに、イスに足を乗せ、轟音を響かせて全速力でやってきた姿には大爆笑でした。カッコ悪くても素直に気持ちを伝えることが大事なんだよと物事の本質を教えられたような気がしました。
二人のえちシーンは動きや音が一切ない静かなものですが、だからこそ余計に裸体の美しさと甘美な雰囲気が伝わってきます。大人の恋の魅力が存分に楽しめました。