ある意味、芸術的な作品だと思います。なんかこう…クラシックコンサートを聴いているような感覚になりました。そこに言葉はなく、音しかないはずなのに、物語が、世界が広がって見える…みたいな。もちろん漫画なので、言葉はあるんですけど、文字や音以外の何かが感覚的に伝わってくるようでした。
演技に対してかなり本格的に掘り下げてあって、素人にも「役者によって同じ作品が全く別ものになる」のが理解できましたし、そういう演技ができるが故の苦悩と恋愛を絡めたストーリー展開も素晴らしかったです。そして、芝居の世界・二人の世界に読者を惹きつける、圧倒的な絵の美しさ!!非の打ち所がない完成度でした。綺麗なだけじゃなく、可愛かったり儚げだったり優しい微笑みだったり、読み応えも見応えもありました。
真樹の役者魂と辰彦の脚本家魂が、求め合い刺激し合って作り出す芝居と、肩書き込みで惹かれ合う恋が織りなす世界観が、映画みたいに素敵でした。