ネタバレ・感想ありQの婚姻のレビュー

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男泣きするわ…
ネタバレ
2025年5月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 小石川あお大先生の新作、無理難題を出して求婚から逃れようとするかぐや姫のテイストがありつつも魔王と魔王たちを倒した勇者が結ばれるまでのお話。
個人的には【 ネタバレなしで読んで欲しい 】かな。

最後まで読むと、勇者は初恋を貫いた男で魔王も千年純潔を守ってて互いに惹かれて焦がれて、でも互いが自分たちの種族のために戦ったし本当は戦いたくなかった(でも後悔はしない)という中で、勇者が一つ過ちがあるとするならば小さい頃からの友だちだった単眼魔物のきゅーちゃんを手にかけてしまったこと。
後に判明しますが、きゅーちゃん…もうすぐQに会えるよ!お花の忘れてるよ!!って追いかけてきたんだよね…疲れからか、汚れきった思い出の森が変質したからか、何故かきゅーちゃんの魔力を異質な物に感じてしまった勇者が魔王だと思ったモノを攻撃して、でもポトッと呆気なく落ちたのがさ…勇者の絶望と後悔はどれほどだったのか。
そしてどんな気持ちで友だちを愛する人の庭に埋めたのか。
胸が詰まるシーンだったな…

愛する人のために駆け抜けた勇者の人生だったけど、途中まで幻のアイテムを捧げるまでに何年かかったのか、読者も魔族に言われて気づくのですが、老いには勇者も勝てないし多分生前相当無茶をしたからか他の仲間たちより老いが早かったんじゃないかな…と思ったんだがどうだろう…(仲間たちも老いたけど勇者程は老いてない感じ)

どちらかと言うと千里眼で勇者を監視する魔王の視点で物事が進んでく中で2人は相思相愛で、でも魔王は皆を守りたかったし勇者も罪なき魔物も人間も守ってるので、本当に種族だけが障害だった2人。
Qは千年生きてきた中で、人間の時の流れなんて魔族からしてみれば瞬きする間と言うのは本当の事で、でもその瞬きの間に捧げられた真摯な求婚に、勇者なしでは生きられない程に心を奪われていたQ。
廻り廻って2人共妖精として生まれ変わってイチャイチャしまくってる姿見て、もう凄い安心と喜びが胸に湧いて…
キスすら神聖なもの過ぎて、そりゃベッドシーンなんか皆無ですが…良い。それが良いんですよ…ピュア過ぎる……舞台見てるかのようだった……

新刊が出る度に、より先生の作品を好きになっていってます。
また次回作、楽しみに待っています。ありがとうございました。
ネタバレなしで作品世界に浸って欲しい
ネタバレ
2025年5月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 完全に油断したのだ。
小石川あお先生の作品を読んで、これまで一度も泣かなかったことなんてないのに。この作品は何だかシリアスにならずに楽しく読み進められそうだぞ、と思ったらとんでもない勘違いだったのです。

が、ネタバレなしで、この世界観に浸るのがこの作品を楽しむ1番のポイントかと。

【以下ネタバレ】
勇者ガラテアは、魔王Qに片思いをしていて、求婚するために、獲得したレアアイテム(かぐや姫に出てくる秘宝)を捧げて求婚するという、かぐや姫をモチーフにしながら、ロミジュリのように禁断の恋に陥る2人なんですが、Qが案外ツンデレで、可愛らしく、かなーりガラテアに惹かれているのが分かるんです。魔王を取り囲む元魔王軍の魔物くんたちと魔王のやりとりもユーモラス。あれ、この2人両想い?わ~、このままハピエンになるんかな?と、ガラテアが、かぐや姫ではどの殿方も入手できなかったレアアイテムを爽やかにゲットする姿にホクホクしながら読み進めていたのです。

が、ガラテアの回想で明らかになっていくQの正体。
そのQと出会って幼きガラテアが抱いたある使命。
その使命感に従って勇者となり、魔王や魔物と闘う日々が描かれるのですが…。
ガラテアも、本来の姿のQも、どちらも自分のためではなくひとのためになることを常に考える、実に美しい心の持ち主。
なんていうか、小石川先生は、幼い頃から抱いている心の中の純粋な部分を瞬間冷凍したような美しい心の持ち主を、人物として一貫性を持たせて描くのが本当に上手い。
そんな純粋な心を持つ者同士が、闘いによって敵と味方に別れざるを得なくなっても、ガラテアの純粋さ、ひたむきさは変わらず、敵味方の垣根を越えていよいよガラテアへの気持ちと向き合おうとQがしたときに、今度は時間の流れの違い、という種の垣根が立ちはだかるのです。

そこからの急展開で明らかになる、ガラテアがひたすらレアアイテムを届け続けた理由。魔物の復活のために受け取っていたQも予想していなかった想いの深さに胸を打たれ、Qがその気持ちに呼応して取る行動に驚き、人の心の美しさに涙が止まらない。そこから長い時を経てのラストシーン。神(小石川先生)の粋なはからいに、今度は嬉し泣きが止まらない…

どこかで見た物語が繋ぎ合わされているようで、どこにもない物語がここに。いや~、素晴らしかった
絵本のようで小説のようで映画のような作品
ネタバレ
2025年5月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読了後、宙を見上げてしばらく余韻に浸ってしまった。。。
まるで絵本を読んでいるかのようなあたたかさ。小説を読んでいるかのように想像力を掻き立てるファンタジーの世界観。漫画でこそ表現できるキャラクターの細かな表情とその感情。映画を一本見たかのような満足感と充足感と幸福感を感じる物語でした。
小石川あお先生のやさしく切なく可愛く愛おしいストーリーに、今回も思いっきり惹き込まれて泣かされました。あぁ………泣き過ぎて眉間が痛い。
*ネタバレなしがオススメなので、以下未読の方はご注意ください。↓↓↓

勇者はどこまでも勇者でした。一片の曇りもなく魔王を愛し、民にも仲間にも自分の心にも恥じぬ生き方を貫きました。愛と贖罪の人生でした。
魔王はどこまでも可愛かった……。素直じゃないところもうぶなところも慈愛に満ちたところも言動も姿も全部可愛かった。おそらく魔王となったずっと初期の頃から、勇者の本質に気付き、愛していたのでしょう。魔王になってからも、その本質はずっと精霊のままでした。
脇を固める魔王軍もめちゃくちゃ良い味出してました。折々でナイスアシスト。私もこの世界観なら、壁じゃなくて彼らの仲間として一緒に勇者と魔王の恋路を見守りたいわ。(ガン見)

ラストは数百年の時を経て、精霊として二人生まれ変わった…という解釈で良いのでしょうか。多くの説明はなくとも、(元)魔王と勇者が仲睦まじく暮らし、元魔王軍や勇者の仲間の子孫達が仲良く平和に過ごしていることが温かな描写から伝わり、すごく幸せな気持ちになりました。
涙と鼻水を流しきり、ただれたBL脳がデトックスされた気分。幸せの余韻でずっと心が温かく、さながら天日干しされたかのような読後感でした。
BL的なシーンはキスまで。BLというジャンルにとらわれるのは勿体無いです。BLを愛する全ての民のみならず、ファンタジーが好きな全ての民にお勧めしたい、神作品でした。
号泣
2025年5月23日
美しい絵で描かれたファンタジーの世界に引き込まれ、ほわほわとした勇者と魔王の可愛らしく微笑ましいやり取りに安心感を覚えながら読み進めておりました。すると、なんてことでしょう。後半に、まさかこんな仕掛けが隠れているなんて。。嗚咽が出る程泣きました。今まで読んだ漫画の中で、1位かも…という位に素晴らしい作品です。これだけの内容を1冊にまとめるなんて、作者さまは天才だと思いました。BL関係なく、映画化してほしい内容です。
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