シグナルシリーズ3作目、榊のパートナーだった美山の初恋のやり直しを描いたお話。榊と岡田の後日談も入った作品。
カフェのオーナー美山が初恋の相手である仁科と再会。歪んだ恋愛思考の原因になった高校時代の仁科との恋に未だに縛られる美山と、色々な経験をしてようやく美山の想いを受け止められると感じた仁科は、互いの過去の傷を乗り越えてようやく真の両想いになります。高校生という若い時分には互いの性格を上手く思いやれなかったり、思惑で利用したりしていた関係性も、歳を重ねたことで余計な部分が削ぎ落とされ、好きというシンプルなものだけが残った感じが丁寧に表現されていたと思います。
でも私が印象に残ったのは榊と岡田の後日談。前作では結ばれたところで終わってしまった関係ですが、この後日談を読んで二人の気持ちがやっとちゃんと理解できた気がしました。
岡田はイマイチ何を考えているのか分からなかったけれど、友人が言っていたようにあまり深く考えずに受け入れる人なんだなというのがよく分かりました。そのなあなあな態度を見て、周りの人は岡田の本気度が分からず冷めていくのかなと思います。でも、岡田はきっともっと直感的に生きている人で、受け入れるというのは最大限の意思表示であり、嫌なことにはきちんと拒否反応を示す人なんじゃないかと思いました。なかなか伝わりにくい人ですが、榊に対しては少し執着したり好きだと言ったりと気持ちを表現するようになっていて、岡田の真剣さが伝わってきました。時間はかかったかもしれませんが、いいCPになったと思います。