完熟、の印象からの変化が美味✨祝完結

ネタバレ

2025年3月14日

このレビューはネタバレを含みます▼ 今、単話で３話まで刊行されているりーるー先生のこちらの作品。
　出だしは、文芸誌編集長という知的ながらハードな仕事をしている雨宮と、セ　フレのアキちゃん、という４０代の完熟、な２人の濃厚なベッドシーンという爛れた関係が描かれて、これは完熟、な２人の大人な関係を描く話なのかなという始まり。
　読み進めると、２人の間のお互いに理性的に、身体の関係以上には踏み込まない、繊細な気配りの下、続いてきた関係であることが分かり始め、それぞれの日常が動き出す。
　雨宮のかつての恋人と、その恋人と作ってきた文芸誌への思いと、時の流れ。
　雨宮が、それまで保ってきた距離を保っていられなくなったのがきっかけで、変化していくアキちゃんとの距離…良い。絶妙かつ自然なんだ、雨宮が一歩踏み出すきっかけのエピソードが。
　雨宮の変化を受けて、今度は明らかになる、アキちゃんの本心と職業。
　普段、理性的に真面目に、仕事第一で生きてきちゃった人が思いがけず落ちた恋で理性の縛りから解き放たれて幸せになる展開が大好物で。
　その意味では、この２巻までで、充分２人の恋愛遍歴、中年になりつつも諦めきれない熱のある感情が描かれた、オトナが読むと分かりみの深い良作だなと思っていたのです。
　その後続く３話では２人の出会いからセ　フレになるまでのエピソードが明らかに。これがまた、完熟、になる一歩手前の甘酸っぱい瞬間が描かれた、至高の単話だったんですよ、奥さん…!🥹
　ただれた関係の描写から始まり「完熟」マークがついた印象の２人に、こんなフレッシュな、キラキラした出会いがあったなんて…!!最初に「完熟」の印象を植え付けられたためでしょうか、次第に明かされる２人の素顔、恋愛に対する真摯で切実な感情がより印象的に訴えかけてくるのです。出会いも本好きなら萌える…！何よりアキちゃんの「ばっ！」を見てほしい！
　中年の、見た目も派手じゃない２人にこんなにときめくなんて予想外。素直に幸せになってほしいと思えるキャラクター作りと意外性ある展開が巧い。リアルなような、ファンタジーなようなところを突いてくる作品づくり、好きだなぁ。アラフォーが幸せになる話が好きなら、ご一読を。
＊祝完結!!セ　フレ時代に２人が抱えていた思いが明かされ、お互いにとっての救済だったのね…。知的なオトナの交わす言葉とエロい絵面が高い水準でマッチしていて良き!