サマー・ボーイ・ブルー
」のレビュー

サマー・ボーイ・ブルー

遠野みやこ

思春期の苦さも煌めきも

ネタバレ
2025年7月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 触れ合いを見られてしまった中学生のミチルと潤。

自分の価値観で受け入れられないものを頭ごなしに否定するのは、その人を否定するのと同じ。
ミチルは同性が好きというだけで否定され、好きなものを好きと言えずに、諦めて生きてきた。
誰を好きになっていいはずなのに、子供にとって全否定されることはどれだけ苦しいだろう。
彼が高校に行っていない理由を想像すると切なくなる。

訪れた17歳の再会。
戸惑いながらも、潤の誠実で真っ直ぐな瞳に見つめられ、閉ざされたミチルの世界が徐々に広がっていく。
彼の塗りつぶされたキャンバスに徐々に色がついていく様子には、心から応援したくなった。
苦しくはあるが、思春期のきらめきも青く、眩しい。
これから2人は手を取り合い、どう大人になっていくのだろうか。

作者様が描きたいテーマに誠実に、丁寧に取り組んでいるのがわかり、大変好感が持てた。
本編はとても真面目だが、描き下ろしの潤の画伯ぶりにはクスッと笑ってしまった。
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