最終電車の恋人たち
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最終電車の恋人たち

ダヨオ

オジBLの金字塔だと思ってる

ネタバレ
2025年7月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ イケオジが出てくるBLの名作はたくさんあるけど、この作品は特別イケオジというわけではなく等身大のオジさまのお話。スーツをビシッと着こなしてフェロモンふりまく美しいイケオジや、若い子と恋愛できる若々しいオジたちとはもはや別ジャンルかも。フィクションじゃなくておそらく「ちゃんと私たちの周りにいる人たち」がとても素敵に描かれています。
最初はさらっと読んでしまったけど時間をおいて読み返してみたら、等身大アラフォーの恋をこんなに魅力的に昇華しているこの作品はもしやオジBLの金字塔では?と思えてきました。

以下ネタバレです。

ちょっとくたびれてて、自分の職場にいるかもしれないくらい等身大のアラフォー春江さん。恋愛経験のないクローゼットゲイで自分から現状を変えようという気などないし、若い男の子にときめくような情熱も持ち合わせていない。
この春江さんがとても可愛い。美形でも魔性でもあざとくもなくて、計算のない自然体の彼の可愛さが何だかリアルです。攻めの藤嶋さんはいわゆる現実的なイケオジ枠には入ると思うけど、地位も名誉も何でも手にしてきました、なキラキラエリートという訳でもないし、色々失いながら寂しさを抱えて生きている。経験はあるしモテるし若い子からの需要もあるけど、春江さんの魅力に気付いた後はもう必死に恋してるだけの男で・・あ~もうこちらも可愛くて。

お互い口にできない2人の心の声が一つ一つ刺さってきます。
10代、20代ならあっさり声にだせるのかもしれない。でも違うんです。呟くの、心で。
恋に落ちかけてるときの「ジャンプしたい」こんなかわいいアラフォーの心の声聞いたことないです。
余計なお世話かもだけど、この作品を読まれたまだ若いみなさん、アラフォーになったらもう一度読んでみてほしいなと思いました。きっとまた違う感覚や感動があるんじゃないかな。

描きおろしで電車に乗る2人のバッグから出ているバゲットと猫じゃらし。
じわ~っと沁みます。きっともうほんとに最後の恋人なんだな。まさに最終電車の恋人たちです。
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