ワンルームエンジェル
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ワンルームエンジェル

はらだ

この関係に名前はつけられない

ネタバレ
2025年8月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 感情に匹敵する言葉がみつからないんです。一応紙でも電子でも購入して何度も読んではいるのですが、何回読んでも絶対泣く。なんなら読まなくても思い出して泣く。自分の涙腺が弱いことを差し引いても涙を回避できない作品です。

以下は相当なネタバレが入りますので未読の方はネタバレなしで是非!

天志のカラッとした明るさと口の悪さ、幸紀との会話のテンポの良さのおかげで笑いながらページはどんどん進んでいく。ほんとに楽しくて笑えます。そしてその日常が後悔の中で生きていた幸紀を救っていくし、天志もまた忘れていた過去の孤独感や寂しさが幸紀の不器用な優しさによって癒されていく。あるといえばある相互救済のお話なのですがそれだけで終わらせないのがはらだ先生。

突如人間のクソみたいな負の部分見せられるの辛いし、天志の真相も理不尽すぎて息がつまる。幸紀の弟のことも目を背けたくなる。でもそれよりも何よりも、幸せな時間の中でふっと消えてしまう、宝物のような存在の喪失がきつすぎるのです。たとえそれが薄々わかっていた結末だったとしても。
あんなに憎まれ口たたいて楽しそうだったじゃん!はらだ先生、こういうのやめて、マジで。って思います。こういうのが一番堪えてしまうのです。

その後で描きおろしとQRコードで2人の幸せな姿に完全に気持ちを持ち直させられるのもたまらない。天志の笑顔とページの余白の空気感が美しくてまさに浄化されます。最後は幸福感に満たされながらもそのたびに目は腫れあがりティッシュの残骸に驚くのです。はらだ先生にしか描けないお話だと思います。
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