しましまのシネマ
」のレビュー

しましまのシネマ

のきようこ

ふらっと行きたくなる、円シネマ

ネタバレ
2025年9月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ ずっと昔から街の片隅にある円シネマ。
いつもちょっといい感じのラインナップを上映してて、若い眼鏡の支配人が出迎えてくれる。
そんな小さな名画座が繋げる、少し運命みたいな恋の縁。

短編形式で5話+最終話+アンコール。
5話目と最終話は支配人たちのお話で、アンコールは描き下ろしの10ページ。これは4話目のふたり。
各話、何気にタイトルが良い。
どのお話も心と感情の描写がリアルで痛くて、状況に飲み込まれていく様は、さりげなくドラマティック。

第1話目は、怖くて恋愛から逃げた先輩と、先輩の言葉に傷付き、必死にマイノリティの可能性から目を逸らしてきた後輩が再会するお話。高まって終わるラストの、七年越しで…の言葉が、熱い余韻を残す。後輩のわんこ味も好み…。

第2話目は、高校生のお話。これすごい好き。クラスでは無反応でコミュ能力が低そうな山下の、ガードを下ろした後のギャップたるや。達尚と一緒に終始どっきんどっきん。ださいマークなにあれかわいい。

第3話目は、別れた二人と運命のお話。先生の大人の余裕と、それを剥がした素の顔と涙ぼくろが色っぽかった。最初の電話の時は、どんな顔してたのよ先生…。
第4話目は、ちょっと無神経な男と、どこか謎めいた男のお話。ハマっていく様と攻防が面白かった。
第5話目と最終話は、支配人と社員くんたちのお話。意外性もあって、片想いが切ない。こういう噛み合ってない恋人関係で、ちょっとした言葉とかに想いが透けて見えるの、すごくいい。

そして最後の最後、カバー下。とても粋で、素敵でした。
ところで、タイトルのしましまってなんだろう?
しましま…横断歩道…人々が交差する…人間交差点的な??

フォローさせていただいている方のレビューで気になって、いつか買おうと思ってた作品。とても良い作品でした。
それぞれのお話にあるという書けなかったエピソード、ぜひ何処かで披露してください!
いいねしたユーザ11人
レビューをシェアしよう!