兄弟失格[ばら売り]
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兄弟失格[ばら売り]

りんごの実

第11話「罪」は誰が背負うもの?

ネタバレ
2025年11月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 待っていました、連載の再開を。
 りんごの実先生が同人誌版の後書きにも書いているとおり、先生にとって、とっても大切な作品で、生半可な気持ちでは書けないであろう続編を書いてくださって、心から感謝。
 BLはファンタジーって言うけど、衝撃的な場面はあるものの、キハチもヤヒロのそこに至るまでも気持ちや倫理観に共感できるから、どうか幸せになってほしい、と祈るような気持ちに読み手もなるんだと思うんです。
 先生が、その心情の移り変わりを、凄く自然に感情移入できるよう、繊細に、丁寧に書いていることが伝わってくる作品作りは変わっていなくて。

 続編の単話のタイトルは「罪」。キハチ視点で始まるストーリー。弟思いのキハチの自責の念が漂っている。
 が、思いもよらぬ人物が登場してくるんです。
 そこで思い浮かぶある疑問。
 キハチが、ここまで罪悪感を持つことになった原因は、どこにあるの?
 誰のために、何のためにキハチが、ヤヒロの母や父の代わりをしてきたの…?
 弟のためにに最善を尽くしてきたキハチと、その兄をかけがえなく思うヤヒロ。共依存になるのが必然とすら感じる環境で精一杯生きてきた2人。
 そう思うと、そこまでキハチが罪を負わなければならないの…?という疑問が溢れ出てきて止まらないのです。

 読み手がいくらそう思っても、善良なキハチの罪の意識は消えなそう。
 読者としては、先生が悩みに悩んだ、この兄弟の幸せの行く末を、追いかけながら考えていくしかないんだろうな。
 よーし、先人に続いて、単話追っかけ隊に入隊します!
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