花神と蛮王
」のレビュー

花神と蛮王

緒川千世

花の王の顔を見ると…良かったです。

ネタバレ
2026年6月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 先生の新刊嬉しいです。心が温かくなりました。



「玉座の怪物」の様な物語だったら読むのは辛いかな…と思いましたが杞憂で、表紙から感じた可愛い色に癒されました。ただ内容は深かったです。

病や不慮な出来事で不自由になった体は、どんなにお金を持っていても元の健康な体は買えず。逆を言えばお金で解決できない大変な出来事がそれで。国の王であっても受け入れるしかなく。また生が有限なのだと分かっていても、実際にその歳になったら受け入れるのはなかなか大変で。なのに2人は、それが人の生きる道なのだとあの若さで受け入れているから凄いなと。そしてそれ以上に大変なのが人間の欲なのだとも知っている。

個人的にあの洞窟内の声は魔のものでもあるんだろうけど、私は花の王かなと感じ。人は欲に取り憑かれたら穏やかな死は無いんだろうなと。描き下ろしから、花の王がもうその道に入っているんだろうかと思いました。土の国の王、アスラがミルザを連れて行かなかったのはその為なのかなと…無駄な争いが起こらない様に。花の王の心をあれ以上乱さない為の最善があの2人の選んだ生き方なのかなと。と同時に、以前の作者だったら違った結末だったのかな…(と偉そうですが)感じた物語でした。

良いなと思ったのは、とろとろな所と人は変われるという描写があった所。ミルザを汚れたと花の王に告げた侍従が、アスラを助けに行くミルザを見送っていた描写には希望を感じました。
生き神だって言われたら、それはみんなもそうなのに、ミルザは常に神でいないといけなくて。そんな彼が人になれる時はアスラといる時で、その時の表情が可愛くて。アスラもミルザに対して男か…とか、性を表す言葉がひとつも出ないのが良く。ミルザをひと目見て恋に落ち、求め愛し合う。年下らしい可愛さもあって良かったです。

もしあったらな…の番外編があったら、アスラが魔に取り憑かれていた時の首狩り王と呼ばれた怖い時を知っている臣下のある日のアスラ様…語りが見てみたいなと。
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