気難しい王子に捧げる寓話
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気難しい王子に捧げる寓話

小中大豆/笠井あゆみ

す、素晴らしい!ブラボーです!

ネタバレ
2026年8月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 自分の見たいものしか見ていなかった世界を俯瞰で眺めた時、目に映る全ての景色が実は180度違っていたとしたら、人がとる行動は何パターンあるのだろう。
諦めて流されるか、腐ってもっと墜ちるか、それとも這い上がるか・・・

きっとその中だったら”這い上がる”が一番きついだろうと思うし、そう選択したとしても一歩間違えたら真っ逆さまかもしれない状況で、エセルは一つ一つ慎重な選択を重ねながら自分の未来のかじ取りをしていく。
手の付けられない暴君でどうしようもなかったエセルの本来の賢さが露わになっていく過程がたまらなく良かったです。
彼が愛したオズワルドとの関係がある出来事を分岐点に大きく変化していくけど、心理描写がほんとに容赦ない。ここまで辛辣に、しかも陰でなじられる主人公って・・・だからこそその後のカタルシスがすごいです。

オズワルドの感情は致し方ないとはいえ、腹の底で抱えていた彼の本心を(エセルも我々も)知ってしまっているので、何だかざまぁ展開になっていくのも面白くもあり・・・そこから霧が晴れて一気にエセルに夢中になっていく様が、読んでいて最高のご褒美でした。
岩塩のごとき塩感情がでろんでろんの水飴のようになっていく2巻の溺愛はもう・・・ありがとうございます。何も言うまい。そしてマルジン…うん何も言うまい。

転生モノのように生まれ変わって全くの別人に、ではないにも関わらずそれくらいの展開が物語の地続きで起きていくのでドキドキしながら夢中で読みました。政治やその闇の部分もしっかり描かれていて読み応えがあるし、人生の指南書のごとく人間の関わり方も勉強になります。加えて笠井先生の耽美なイラストにもため息でちゃいます。
腕の痣の謎や、大事業の行方がどうなっていくのか今から楽しみで仕方ない。
早く続きが読みたくてうずうずしています!
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