小さい頃からの夢だった小学校の先生になった男と、野球部の先輩で初恋の相手でもある男が、赴任先の小学校で再会し、寮という名のひとつ屋根の下で一緒に暮らし始めるお話。
トラウマになった過去の初恋の気持ちがよみがえり、先輩に尽くす佳月。祐吾は赴任前の失恋でボロボロになっていたが、佳月との穏やかな日々で徐々に体調を取り戻していく。佳月の気持ちに甘えっぱなしの先輩に狡さも感じますが、繊細で一生懸命に恋愛をする祐吾の苦悩も分かりすぎてとても切なくなりました。ゲイであるがゆえに心休まる場所がなかなかなく、ようやく見つかっても様々な問題が噴出してしまう日々は辛かっただろうなと思います。佳月も利用されていると分かっていても、惚れた弱みだと開き直ってしまえば、先輩が振り向いてくれたことは幸せなのかもしれないなと感じました。
とはいえ、とにかく佳月がいい男で皆が擁護したくなる気持ちも分かります。居心地の良い場所を作り、美味しい料理でもてなしたり、恋敵にすらお茶を出してしまう優しさがとても身に沁みました。先輩にとっても、佳月のような優しく尽くしてくれる人との穏やかな時間が幸せだと思います。