萌え系漫画家とそのファンであるリーマンカップルの日常を描いたお話。
いきなり別れ話から物語が始まったので、このあと一体どうなるんだろうと思いましたが、全く何も起こらないという意外な展開で拍子抜けでした。読み進めていくと分かりますが、別れ話すらもこのカップルには日常であり、そんなカップルの何気ないごくごく普通の日々を描いています。それこそがこめり先生の意図したところだったようで、何も起こらないこの日常がこんなにも面白いなんてまさかの発見でした。どんなカップルにも起こりうる些細な喧嘩や気持ちの変動、改めて気付かされる大切さなど、「誰でも」の中にも日々各々が色々考えたり考えなかったりしながら生きている様子が丁寧に描かれていて、人間観察力が高いなと感じました。人のベースや二人の過去、付き合っていく中で変化していく環境や未来への思いなど、複雑なことが色々絡まって出来上がっていく二人の「今」がとても新鮮で、かつリアルで本当に面白い作品です。