大学時代に一度だけ関係を持った親友との奇跡的な再会のお話。
お話は短いけれど、そんなことを感じさせない時の流れとストーリーの深さを感じる素敵な物語でした。当時は一緒にいるのが当たり前で何があっても隣にいるのが自然だと思っていたことが、実はとても貴重で大切な日々だったと気付くことの尊さが、翔太の独白と過去の思い出によって綴られています。そしてそれが、スマホなどの現代ツールではなく、行きつけの喫茶店の見るかもわからない落書きノートを通じて描かれているのがとても風流があって趣深いです。いつでもどこでも簡単に繋がれる時代だからこそ、こういう昔ながらの手法に胸がときめき、奇跡的な再会を運命だと感じることが出来るのだと思います。大人になったからこそ、受け止められる想いや出来る覚悟があります。もう一度あの喫茶店で二人で向かい合ってカレーを食べられる日が見たいと思いました。