失恋したことでヤケになり、軽装のまま山登りしに来た男が、遭難寸前で助けてくれた男と熱い一夜を過ごしたことから始まる恋のお話。
ストーリーに芯が通っていてとてもいいお話だと思いました。軽装のまま登山する無知な若者綺來に山の危険性をしっかりと伝え、何だかんだと面倒を見てあげる藤。山登りが趣味であると同時に、仕事の延長線上でもあり、供養でもあるというところに、彼の真面目さがうかがえました。名前を知ったら見ず知らずの関係じゃなくなる、といった返しにも大人の魅力を感じました。
そんな藤に出会って綺來は改心。元々素直で明るい綺來の良さが存分に発揮されていました。あんなに真っ直ぐ懐かれたら、可愛くて仕方ないよなぁと思いました。
描き下ろしでは二人のラブラブと共に、綺來の世話焼き女房っぷりが甲斐甲斐しく描かれています。田舎にもすっかり馴染んで、幸せそうな二人にほっこりしました。
山登りの厳しい現実と魅力がたっぷり詰まったこの作品、二人の引き締まった体と爽やかなワンゲルスタイルも見どころです。