強大な魔術を宿す魔術師のお店の主人と元奴隷の恋のお話と、魔術を頼りにやってくる依頼人たちの不思議なお話。
とにかく絵が綺麗で、読んでいてうっとりしてしまいました。中世ヨーロッパの雰囲気を漂わせたファンタジーらしく、衣装も小物も背景も全てが豪華絢爛です。そして、シルヴァンたち登場人物の裸体はダビデ像のように美しく、世界観を裏切ることのない絵が一冊通して描き込まれています。まるで芸術作品のような作品でした。
お話はちょっぴりドジなティムとティムを溺愛するシルヴァンの話や、椅子になりたいという依頼人の話など、内容はコメディより。魔術を使って変態的欲望を満たそうとする彼らの浅はかさが、可愛らしく思えます。目と心が癒される一冊です。