絵がふわっと優しくて、そのほわほわした感じが私の好みとは違っていたので購入を迷いましたが、なんてすてきなお話なのでしょう。山ではヒーローの山本は下界ではポンコツで、山ではポンコツのクマは下界では仕事バリバリ。山本は人を見下すために山頂に立っていて、そんなイタイ所もクマは優しく包んでくれる。でも山でのクマはやっぱりダメダメで、そこを山本が気負いなくフォローするんです。完璧じゃなくていい、ダメなやつでもいい、誠実に毎日を送るから…と思える1冊です。BLはエロが必須と固く信じている自分を自省せずにはいられない、初心にかえるピュアさがあります。始まったばかりの恋が、ゆっくりと優しく進みます。クマも山本もとってもかわいいし、最初は嫌な感じで出てきた女性の同僚の日高さんがラストにそう来る?という展開で、さらにその後に登場する、山本を蜥蜴の尻尾切りに使おうとした課長がお茶目な感じで出てきたり、全方向に優しさが行き渡っていました。いいなぁ、こういうの。