戦争めし
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戦争めし

魚乃目三太

戦争と食事

2025年7月29日
八十回目の終戦記念日が近いこともあり、ここ最近は戦争関連の作品を多く読んでいます。
この作品も以前から気になっていて、2巻分が無料になっていたこともあり、丁度良い機会なので拝読してみました。

陸軍・海軍ひっくるめて、第二次世界大戦を戦った日本の軍人さんや兵隊さんたちが口にしていた、様々な戦地での様々な食事。そんな、ちょっと珍しいテーマのオムニバス漫画です。
コミカルでデフォルメされた絵柄、そしてテーマが“食べ物”でもあるので比較的読みやすくはありますが、戦争物には違いない。心にズシッと響く結末のお話も。
そして、“美味しいものを食べること”がどれほどの活力を生み、どれほど重要なことか深く考えさせられる作品でもあると思います。

作中に満州の餃子のエピソードが出てくるのですが、自分の祖父が同時期の昭和十七~十八年まで満州チチハルに駐屯していたこともあり、じーちゃんも餃子食べたりしたのかな?などと想像してみたり。
そしてこれは余談なのですが、そのエピソードの兵隊さんが後にパラオへ配属になり…ということまで当時の祖父と全く同じ状況で、完全に重ねてしまいました…。

本編第1話のテーマであるカツ丼にしても、今はスーパーやコンビニなどで手軽に買える食べ物でもあります。
あまりに簡単に手に入るので有り難さを忘れてしまいがちですが、この作品を読むことによって、物が溢れる今の時代がどれほど幸せか身に沁みました。
また当時の方々がどのような場所でどのような物を食べていたのか初めて知ることも多く、改めて勉強にもなりました。
この作風や絵柄ならお子さんでも抵抗なく読めるのではないかと思います。戦争から遠い世代の方々にもオススメの作品です。
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